山川 プロポスタの今の佇まいを作ってくださったのは中村久二さんのおかげです。中村さんと作り上げたこの空間の住宅スケールで家具を見せるという店づくりはプロポスタが大切にしていることです。その後の売り場を拡張したときに、高須さんに無理難題をお願いしました。
高須 当時、山川社長に言われたのが、「改装したかしてないのかわからないような改装をしてください」ということでした。(笑)
山川 最近思うのは、カーサミア河口湖(アルフレックスの思想が凝縮された総合プレゼンテーション施設)もそうですが、時間を経ていい佇まいを残している空間というのは、建具の強さだと思います。その意味では、中村久二さんが創られたここ中島町もプロポスタも建具の力があるということだと思います。
中村 ヨーロッパは、基本的に石層文化ですので窓は、ぽつ窓です(外壁に独立してつけられた窓)。アジアは、湿度が高いので、できるだけ柱があり面で光を入れる文化です。線で光が入ってくるヨーロッパと、障子やガラス戸越しに面で光が入ってくるアジアとでは違うわけです。蛍光灯が日本人には受け入れられてヨーロッパの人たちには受け入れられないのは、蛍光灯の光が面で照らすからです。
プロポスタは、柱をあえてつけて室内の中心に中庭を作りました。
中島町は、柱があって軒を深くとり建具を開くことによって面で光を入れるというアジア、日本人が好きな光の処理になっています。
山川 プロポスタの空間は、中村さんが商業建築のイメージではなく、住宅スケールで光や空間の処理をしていただいたので20年経った今でも古さを感じません。アルフレックス 、モルテーニの家具は、家具単体ではなく、空間を作るという指向性が強いので毎年色味を変えた商品をショールームに入れてもちゃんと収まるのを見ると改めて、住宅スケールの「場」の大切さを感じますね。
中村 お客さんがうちの家にこの家具入れても入るなとイメージできるものにしたいと思っていました。
高須 プロポスタの店内のスケール感は秀逸です。家具を置いた時の天井の高さ、幅の調和が違和感なく感じられます。居心地がいいのは、ヒューマンスケールに基づいているからだと思います。この業界で仕事をはじめてプロポスタに来た時から素晴らしいと思っていました。