INTERVIEW

2021.07.02
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INTERVIEW 04

PROPOSTAの隣の敷地に完成した『PROPOSTA di CASA』

そこは、イタリア最高峰のキッチンブランド”Dada”が体験できる空間です。

この度、『PROPOSTA di CASA』の完成を機に、PROPOSTAが仕掛ける新たな企画が始まります。

それは、イタリアのキッチンブランド”Dada”のショースペースに少人数のゲストを迎え、お料理と器でもてなすダイニングアウト。

このために、唐津を代表する名門『隆太窯』の陶芸家・中里健太さんに『PROPOSTA di CASA』オリジナルの器を制作していただくことになりました。

この企画でのお料理をお願いする”La Maison de la Nature Goh”のシェフ福山剛氏とPROPOSTA代表・山川登久とともに佐賀県唐津の『隆太窯』を訪ねました。


Interview Video
ー『PROPOSTA di CASA』で開催するダイニングアウトとは?

山川登久 ヤマカワ装飾代表取締役社長(以下、山川) まず、この場所を作ろうと思ったのは、PROPOSTAのショールームとしての広がりを持たせたかったというのが一番の理由です。『PROPOSTA di CASA』という名称については、この計画の全体プランをおこなったニコラ・ガリッツィアと相談して決めました。「家(CASA)の提案(PROPOSTA )」という意味です。天気のいい日にお客さんと座ってゆっくり話しながら過ごせたらいいなと思っています。ダイニングアウトの企画は、派手に宣伝してお客様を呼ぶのではなく、落ち着いたやり方でおもてなしができないかと考え、まずは、日頃懇意にしていただいているお客様を少しずつ招待して、美味しいお料理と楽しい会話でひと時を味わってもらいたいと、さらに器にもこだわりたいと思いました。ご縁があって「隆太窯」の中里健太さんにオリジナルの器を制作していただけることになりました。これが私たちのスタイルですというメッセージを発信できたらと思っています。


ー隆太窯に来られた印象は?

福山剛 ”La Maison de la Nature Goh” シェフ(以下、福山) 器を売っている店に行くことはあっても、窯元を訪ねる機会はあまりなくて感激しています。緑があり川が流れ、素晴らしい環境ですね。ここに今すぐにも住んでみたいって思います。こういう場所に来ると、自分が大人になった感じがしますね。(笑)

山川 私は、「隆太窯」に来るのは3回目です。私自身お茶をやっていることもあり器には興味を持っているのですが、その一方で器の世界のはまったら抜けれないぞという気持ちもありまして、ずっと付かず離れずの状態です。(笑)「この器いいな」と思うものは、いつも手が出ないような金額で・・・現実の世界に戻って来るという感じです(笑)。


ー器ができるまでの行程を教えていただけますか?

中里健太 隆太窯 陶芸家 (以下、中里) 先ずは材料である土を用意します。細かい石などを取り除き、こねたり水に溶かしたりして粘土にします。そこからろくろなどを使って形を作り、ある程度乾燥した時に物によっては化粧をかけたり、素焼きのものは、生の状態よりちょっと丈夫にして薬を分厚くかける工程などがあります。窯に入れて焼いたあとは、選別し最後の手入れをします。


ー隆太窯の焼き物の特徴とはどんなところでしょう?

中里 隆太窯は、基本的には実際に使っていただける器を作り続けたいという思いで私の祖父(中里隆)がはじめて、父(中里太亀)、私とやってきた窯です。私も唐津焼は大好きでいいものがたくさんあるのですが、唐津焼きっぽくないものもあります。色々試行錯誤しながら作っています。私が個人的にいつも思っているのは、お食事をして帰られる方が「今日の器は良かったね」というよりも「今日は、いい時間を過ごせたね」と思っていただけるような器作りをしていきたいと思っています。器の存在が強すぎるとお料理の前に器が出てしまう感じがして、過剰に自己主張をせず、なおかついいものであるというのが理想ですね。


ー料理人が求める器とはどういうものですか?

福山 まずどういった料理を作るのかを考えて、料理の色やソースの濃度とかを見ながら器の形や色を決めていきます。私は、焼き物に関して特別な知識があるわけではないので、作陶家さんや販売する方などとの出会いから器を選ぶことが多いです。作り手の人柄などが作品に出るものだと思うので面白いですね。先に器を選んで料理を考えるというケースもあります。


ー剛さんのお料理の印象は?

中里 先日”La Maison de la Nature Goh”にお伺いしたのですが、剛さんのお料理を一言でいい表すのは難しいですが、本当に美味しかったです。

福山 その時に、今作っておられる『PROPOSTA di CASA』の器についても話しができたんですよね。

中里 そうです。剛さんが考えておられるメニューの流れも教えていただき、細かいことでいえば、スープの器は深い方がいいか、浅い方がいいかといったことも剛さんにお聞きできたのはよかったです。

福山 今回の調理は、『PROPOSTA di CASA』オリジナルのコースを考えています。キッチンも素晴らしいですからね。

山川 今回は、初めての試みでもあるので楽しみです。


ー 今回、中里さんが初めて作る”陶盤”があるそうですね?

中里 黒の陶盤というリクエストをいただいています。普段は、ろくろを使って作るものが多いのですが、ろくろには手で土を押し込み圧を加えるという役目もあります。でも陶盤はろくろを使って作るわけにはいきませんので板状の形を作って圧がどこまでかかるかというのが難しいところです。本番が7月なので、練習なしの一発勝負でどうなるか正直わかりません。


ー 現代の住環境におけるキッチンの役割とは?

山川 イタリアのモダン家具のトップメーカーといえば、B&B、Molteni、Minottiなどがあります。ここ5、6年、この辺のブランドは、家具と同じ材料を使ったキッチンを作ってリビングとダイニングを一体化した空間を提案し続けています。昨年積水ハウスさんが手がけた福岡市大濠にある高級マンションのインテリアの企画をわれわれPROPOSTAが参画させていただいたのですが、『PROPOSTA di CASA』のグランドデザインも手がけたニコラ・ガリッツィアのインテリアがそこには入っています。また、Dadaのキッチンも入れさせていただきました。あのマンションは、完全に世界のトレンドと同じようなキッチン、リビング、ダイニングの統一仕様となっています。あらためてキッチンの存在感が、部屋全体のクオリティーを上げるということを体感しました。

中里 私も自分で料理をしますし、何より人とご飯を食べるのが好きな人間です。確かに今のお話しを伺っていると、気の合う仲間と食事やお酒を飲みながら過ごすのには、リビングとキッチンが近い方が楽しいですよね。

福山 みんなで食卓を囲んで楽しくお食事をしたりお酒を酌み交わしたりすることが大事なことであるということをコロナ禍で再認識した1年でしたね。私も家に友人を呼んで食事を作ることがあります。今は、そのような習慣が途絶えていますが、これからは、キッチンを囲んで幸せな時間を過ごすということが大事な価値になってくると思います。

PROFILE
プロフィール画像
中里健太 (写真中央)
隆太窯 陶芸家
1993生まれ。佐賀県唐津市在住の陶芸家。祖父、中里隆が開いた「隆太窯」にて、父、中里太亀に師事。唐津焼の伝統を受け継ぎながら、自由な感覚を活かし、自身も日々楽しむことを大切に作陶を行なっている。

福山剛 (写真右)
La Maison de la Nature Goh シェフ
1971生まれ。1989年、【イル・ド・フランス】に勤務。その後、1995年から【マーキュリーカフェ】でシェフを務める。2002年、西中洲に【La Maison de la Nature Goh】を開店。アジアレストランベスト50にも選ばれる福岡を代表するフレンチのシェフ。

山川登久 (写真左)
株式会社ヤマカワ装飾 代表取締役社長
1960年北九州市生まれ。成蹊大学経済学部卒業。卒業後、米国メインフレームコンピューター会社に勤務。電力会社、特に原子力発電を中心とした発電系システムをフィールドとする営業を担当。1998年ヤマカワ装飾入社。2000年にPROPOSTAを開設。
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